適性検査の導入を検討していても、選び方や効率的な使い方をご存知でしょうか?近年、より効率的に自社で活躍できる学生を見極めるための手段として、適性検査を導入する企業も増えています。
本記事では適性検査について、検査の概要や選び方、注意点からおすすめの適性検査まで解説しています。自社に合った適性検査を導入したい方はぜひ参考にしてください。
適性検査とは?どれほど適した素質を持つのか測定する検査である
就職活動における適性検査とは「一定の行動や職業に対して、どれほど適した素質を持つかを測定する検査」だと定義されています。わかりやすく説明すると、適性検査とは入社する上で必要な適性の一部を見るテストのことです。
テストと聞くと数学や国語、英語といった学力テストを思い浮かべる方も多いかもしれません。もちろん学校で行うようなテストで学力を数値化することも、職務や組織への適正を測る一つの基準になりえます。
しかし学力の高い人が必ずしも仕事ができるとは限りません。なぜなら求められる業務によって適性があるかどうかが異なるからです。このようなミスマッチを防ぐために、適性検査は有効な手段だとされています。
どのような適性検査があるのか、測定できる項目や所要時間について解説します。
測定できることは主に2つある
適性検査の測定方法は大きく分けて能力適性と性格適性の2つに分かれます。それぞれどのような項目を検査するのか、詳しく知っておきましょう。
能力検査
能力検査では新しい知識の習得スピードや応用力を測定します。この能力は新しい業務での立ち上がりの速さや、同じ業務での習熟度合いに関係します。具体的には思考力や論理性、数値能力など基本的な能力についての検査です。
性格検査
性格検査は、人物の考え方の癖や行動の特性を測定する適性検査です。性格検査により、その人が業務によって求められる性格特性を持っているかどうかが判断できます。性格検査では人間性や考え方の軸など、主にパーソナリティの部分を見ていきます。
検査に掛かる時間
検査に掛かる時間は実施される適性検査の種類によっても異なりますが、目安として1検査につき30分ほど掛かるとみていいでしょう。たとえば能力検査と性格検査の両方を実施する場合は、大体それぞれ30分ずつ。合わせて1時間ほどが所要時間となります。
適性検査を導入する企業の目的は3つある
適性検査はその導入目的を明確にしておくことで、より効果的に活用することができます。そして導入目的によってどのフェーズで適性検査を利用するのかが明確になり、選考のどのタイミングで受験してもらうかという点も定まります。
ここでは適性検査を導入する目的として、集客利用・見極め・惹き付けという3点についてみていきましょう。
集客利用
適性検査を集客のために利用することを目的としているのなら、利用時期が重要になります。昨今、適性検査は採用選考において見極め目的で利用されることも多く、大学によっては対策講座を設けているところも少なくありません。
その分、学生からの関心度・着目度も高く、受験結果を知りたいという心理を汲めば集客促進のコンテンツとしても利用可能です。
たとえば、インターンシップ期間や新卒採用初期に「適性検査の結果をフィードバックします!」とアピールすれば、学生の自己研究欲求に働きかけることもできるでしょう。
一方で集客目的に利用する際、自社に興味がない人もやってくる可能性があります。すると、優秀な候補者に内定を出しても辞退されるケースも増えるため、就活生への無料サービスのような結果に終わる恐れもあるため注意が必要です。
見極め
見極め目的で適性検査を導入する場合、まずボーダーラインを決めておくことが重要です。適性検査結果のどの要素に着目して、どの数値を参考にして受験者の絞り込みを行うのか、あらかじめ明確にしておきましょう。
ボーダーラインの決め方として一番スタンダードなのは、前もって一度自社で活躍している社員に適性検査を受けてもらうことです。複数の社員に受験してもらって、その結果に基づき、共通して突出しているポイントを探し出します。その項目を見極めポイントとすれば、自社の業務に適性の高い受験者の絞り込みが可能でしょう。
詳細な見極めボーダーラインを検討する場合、活躍している社員とそうでない社員、複数名に受験してもらうのも一つの手です。その結果を分析すれば活躍している社員はどの項目が優れているのか、より詳しい見極めポイントを把握することができます。
ただし適性検査は採用選考の一手段に過ぎないため、絶対的な尺度にはなりえません。特に性格適性検査では精度を測るために、信頼性・妥当性・標準性といった概念を使用していることが多いです。しかしこれはあくまで理論的な想定値に過ぎない上、信頼性に至っては誤差も含んでいます。
性格適性検査を導入する際は、あくまで参考とするための値として担当者内での認識を統一し、適性検査の限界についても理解しておく必要があるでしょう。
惹き付け
求人過多による売り手市場が長引き、新卒採用も激化している昨今。その中で採用力・採用戦闘力ともいわれるのが、この惹き付けのフェーズとなります。
このフェーズはターゲットとなる学生に、いかに自社のファンとなってもらえるか、入社を決意してもらえるか。最終的な入社承諾につなげていく重要なフェーズです。
そのため、まずはターゲット学生との接触頻度を高めていくこともポイントとなるでしょう。近年では適性テストの結果をフックとして、フィードバック面談やキャリア面談などの意味合いで学生との接触機会を作り出す会社も増えています。
また受験結果と受験者の結果に対する結果をすり合わせることにより、さらに人物理解を深めることも可能です。
適性検査は新卒と中途採用で違いがある
適性検査を行う場合、新卒と中途採用で異なります。
昨今、転職者に対する適性検査の需要が大きくなった背景として、スキルや経験を買われて入社した中途社員が職場に馴染めず、早期離職するケースが問題視されていることが挙げられます。
人材不足が叫ばれる昨今、離職率を低く抑える方法として、未然にミスマッチを防ぐために適性検査が多くの企業に導入されているのです。
新卒とは違い即戦力として迎えられることが多い中途社員は、書類審査や面接ではスキルや経験を重視されがちです。そこで企業に対する適性を担保する目的で、特に性格検査の方が人事・労務担当者から注目されています。
中には能力検査は実施せず、性格検査のみを導入する企業も少なくありません。適性検査を導入する際は、どのような形で検査を行うのがベストなのか、よく考えておきましょう。
新卒向け適正検査の3つの選び方
数多くある適性検査の中から、自社に合うものを選ぶにはどのような点がポイントとなるでしょうか?以下のポイントを解説していきます。
- 予算
- 所要時間
- 検査内容
予算
適性検査を選ぶ際は、まず予算がポイントになることも多いでしょう。適性検査の実施費用と採用活動の頻度が見合っていない場合は、検査費用が無駄になってしまうこともあります。なるべく予算内で、費用対効果の高いものを選んでください。
適性検査の実施コストは受験者1人あたり数100円〜7,000円程度と、検査によってかなり幅が出ます。料金プランも様々なものがあり、中には受験料とは別に初期費用や年間手数料が掛かることも。
適性検査を導入する前に検査の使用目的や受験者数、採用活動の頻度などを洗い出しておいて、予算との兼ね合いを見つつ候補を絞っておきましょう。
テスト形式と掛かる時間
適性検査によっては数分程度で終わるものもあれば、1時間以上掛かるものもあり、所要時間の差も大きいです。
検査結果を入社後の配属や評価にも利用したい場合には、より詳細なデータを取るため検査にも時間を掛ける必要があります。逆に面接用の補完資料として適性を確認する程度であれば、短時間の検査を選んでも問題ないでしょう。
また応募者によっては忙しさから時間を確保できず、エントリーを辞退するといった状況も考えられます。
例えばより多くの募集を募りたいのなら短時間で完了するものやオンラインで実施できるものなど、手軽に受験できる検査を選ぶのがおすすめです。適性検査を選ぶ際には、応募者の負担を考慮する視点も忘れないでください。
どのような検査内容なのか確認
適性検査によって、分析できる項目は大きく異なります。分析したい特性を測定するために、最低限どのような検査内容なのかは確認しておきましょう。
また検査結果のまとめ方も種類によって様々です。たとえばレポート形式のものもあれば、採否判定まで踏み込んだ結果を表示するものもあります。どの形式が最も望ましいのか、適性検査を提供する各社のホームページで見比べてみてください。
新卒採用におすすめの適性検査5選
適性検査には様々なものがありますが、ここからは特に新卒採用におすすめのものを厳選して5種ご紹介します。自社に最適な適性検査が分からないという場合は、ぜひこちらをお役立てください。
おすすめ1:適性検査Compass
時間 | 20分 |
料金 ※税別 |
|
テスト形態 | Web・紙 |
測定内容 | ストレス耐性・職業適性・対人関係スタイル・基礎能力 |
適性検査Compassはストレス耐性の確認に特化しており、抑うつ・ストレス耐性やその傾向などが分かります。自社との相性を独自の物差しで確認できるため、新卒学生の採用時のパーソナリティを把握するのにも効果的です。
検査はペーパーテスト・Webテスト・インハウスなどを用いて行います。オンラインで受験した場合は、すぐに診断結果を確認することができます。上手く活用すればスピーディな選考活動の一助となってくれるでしょう。
おすすめ2:tanΘ
時間 | 要問い合わせ |
料金 ※税別 |
|
テスト形態 | Web・マークシート |
測定内容 | 性格・能力(言語・非言語・英語) |
tanΘは、国内導入実績5,000社を超えるCUBICを元にして共同開発した適性検査です。活躍人材の見極めや、組織風土分析などに強みがあります。
所要時間は各教科15分、全て実施しても60分で終了します。受験者への負担が少ない点も魅力的なポイントです。スマートフォンでの受験にも対応しています。
おすすめ3:ダイヤモンドシリーズ
時間 | 要問い合わせ |
料金 | 検査による |
テスト形態 | Web・紙 |
測定内容 | 職場適応性テスト ストレス耐性テスト 知的能力テスト 総合能力診断テスト 変化対応能力診断テスト 営業・販売職適性テスト 情報技術者適性テスト Web総合診断適性テスト |
ダイヤモンド社が提供している適性検査には、DBIT・DPI・DSI・DATA-OA・DII・DISTなどがあります。
DBITは作業を効率的に行うために必要な基礎能力を診断するテストです。短時間で多数の問題を回答させることにより、業務の正確性と効率性を測ります。
DBITについての詳細を以下の記事でまとめています。ぜひご一読ください。
【事例あり】DPI(ディーピーアイ)適性検査とは?メリットと効果、導入の注意点を解説
おすすめ4:アッテル
時間 | 約20分~ |
料金 | 月額250円/人~ 選択コースにより異なる |
テスト形態 | Web |
測定内容 | 「定量化(アッテル診断)」 資質診断 基礎能力診断 「適性診断」 評価分析 比較分析 分布分析 類似分析 類似従業員 |
アッテルは10万人のデータとAIの知識を組み合わせて開発された適性検査です。「脱・感覚人事」のキャッチコピー通り、合理的な採用人事を促進します。
アッテルでは自社で活躍する人材の傾向を分析したデータを元にして、応募者のポテンシャルを評価します。
おすすめ5:SPI3
時間 | WEB:65分(能力検査35分、性格検査30分) マークシート:110分(能力検査70分、性格検査40分) |
料金 | テストセンター:5,500円 インハウスCBT:4,000円 WEBテスティング:4,000円 ペーパーテスティング:5,000円 ※大卒採用向けSPI3-Uの場合 |
テスト形態 | Web・マークシート |
測定内容 | 性格特長 能力 組織適応性 面接チェックポイント |
SPIとは、Synthetic Personality Inventoryの頭文字を取った略語です。リクルートキャリアが開発した適性検査で、SPIとは「能力検査と性格検査を併せ持った、高度な個人の資質を総合的に把握する検査」と定義されています。
学生の就職活動でも多く用いられるなど、人材採用時の判断材料として広く認知されています。2013年にはSPI3と大幅に改訂されており、以前より進化を遂げています。
大手企業だけでなく中小企業にも導入実績が多数あり、その年間利用者数は約12,000社にも上ります。
適性検査を実施するうえでの注意点【3選】
最後に適性検査を実施する上で注意しておきたいポイントを3点解説します。このポイントを踏まえてスピーディかつ効率的な採用活動を行いましょう。
テスト自体の信頼性
大前提として、適性検査はあくまで補助ツールにすぎません。採用を行う際は面接で受けた印象なども照らし合わせながら、採否を判断することをおすすめします。
応募者の中にはその日のメンタルや体調によって、結果に影響が出てしまうこともあるでしょう。ですので特に性格検査については、面接と合わせて総合的に判断する方がより適切な評価が行えます。
カンニングといった不正行為の対策
検査実施時に、受験生が不正行為を行わないとも限りません。特に自宅受験型のWebテストは他の検査方式と比べて不正行為が起きやすいです。そのため基本的には検査を提供する各社が不正行為対策を講じています。
適性検査を選ぶ際には、どのように不正行為対策を行っているのかという点も導入のポイントとなるでしょう。
選考通過のボーダーライン
適性検査を実施する際には、選考通過のボーダーラインを明確にしておく必要があります。効率よく採用活動を行うためには選考基準を明確にして、担当者内で認識をすり合わせておくことが重要です。
一次選考など候補者が多い段階では、ボーダーラインを設定して機械的に選別しなければ選考に時間が掛かりすぎてしまいます。スピーディな選考活動を行うために、選考通過のボーダーラインは事前に決めておきましょう。
さいごに
今や適性検査は多種多様な企業で行われており、集客利用・見極め・惹き付けといった目的から実施されることも多いです。適性検査には様々な種類がありますが、予算や所要時間、検査内容などを確認して、自社に合ったものを選びましょう。
適性検査は上手に活用すれば合否判断の助けになってくれる強力なツールです。中には無料で使えるものもあるので、まだ導入していない場合は一度お試しで利用してみてはいかがでしょうか。
採用活動は、企業の今後を左右するといっても過言ではありません。自社の目的に合った適性検査を活用することで、書類選考や面接のみでは把握しきれなかった情報も踏まえて、採用活動の精度や効率アップが期待できます。
当サイトでは他の適性検査ツールも紹介していますので、気になるものがあればぜひ読んでみてください。