昨今は「終身雇用」という意識は薄れ、転職による人材の流動性が高まっています。実際、自社に最適な人材を採用したはずが、間もなく退職する従業員に頭を抱えている企業も多いのではないでしょうか。
そんな社会的現象にちなみ、人材に関するデータを一元化して分析し、組織力を最大限に引き出すことを目的とするタレントマネジメントシステムが注目されています。
今回は、タレントマネジメントシステムの1つである「タレントパレット」と、その機能の1つである適性検査を上手に活用する方法について解説します。
タレントパレットとは
「タレントパレット」とは、株式会社プラスアルファ・コンサルティングの提供するタレントマネジメントシステムです。
最近は、若手社員が最初に就職した企業を離職するケースも少なくありません。
平成30年度に内閣府が監修した「子供・若者白書」によると、「仕事が自分に合わない」ことを理由に離職する人は全体の50%近くを占めています。
つまり、およそ2人に1人が、職種や職場環境を自分とは「ミスマッチしている」と感じているのです。
そこで、人事部門の保管する従業員の氏名・経歴などの「静的データ」と、パーソナリティなどの「動的データ」を併用・管理して離職率の軽減を目的とする「タレントマネジメントシステム」が開発されました。
「タレントパレット」は「タレントマネジメントシステム」の1つで、「人事業務にもマーケティングの視点を」というスローガンのもと、人材情報のマーケティング的な活用を推進しています。
具体的には、人材データのプラットフォームを提供し、組織自体の労働生産性の上昇および各従業員における仕事パフォーマンスの向上を目的とする一元管理システムです。
タレントパレットの概要
「タレントパレット」は、これまでに大手企業を中心におよそ2,000社の導入実績があり、各種ランキングでも上位を占めています。
その主な活用シーンと機能は、下記の通りです。
主な活用シーン | タレントパレットの機能 |
---|---|
人材の見える化 | 人材データベース |
人事評価の効率化 | 人材データ分析 |
人材の最適配置 | 異動シミュレーション |
計画的な人材の育成 | 人材育成・研修管理 |
評価制度の変革 | 人事評価 |
エンゲージメント(モチベーション)の把握 | アンケート |
企業内コミュニケーションの活性化 | サンクスポイント |
離職防止・予兆の検知 | 組織判断 |
従業員の健康管理・健康診断結果の保管 | 健康管理・ストレスチェック |
「タレントパレット」は、さまざまな活用シーンに合わせて機能別に操作することで、直ちに数値化・図案化されたデータを閲覧できます。
さらに、2018年に国際標準化機構「ISO」で指定された「社内外に対する人的資本の情報開示ガイドライン」に基づく国際基準「ISO 30414」に準拠しており、多彩な項目で人的資本に関する情報の「見える化」も可能です。
このほか、システム内に内臓されているダイバーシティやスキルなどの標準項目に独自の指標を加えて、自社独自の人的資本ダッシュボードを設定できます。
サポート&料金体系
「タレントパレット」のサポート内容は、下記の6つです。
- サポートデスク(問い合わせ・チャット)
- ラウンジ
- 専任サポート
- 個別相談会
- 活用勉強会
- フォーラムユーザー会
多くの機能を備えた「タレントパレット」は操作も多岐にわたり、データをかけ合わせることで汎用性が高まります。
これらの手厚いサポートによって、「タレントパレット」の全機能を効果的に活用すれば、企業の業務効率は格段にアップするでしょう。
なお、料金体系については企業の従業員数によって変動しますので、プラスアルファ・コンサルティング社に問い合わせが必要です。
タレントパレットのマインド(適性検査TPI)
「タレントパレット」には、「マインド」とよばれる「適性検査TPI」の機能が搭載されています。この「適性検査TPI」は、各従業員の個性や適職を分析できる最新型の適性検査ツールで、25年間にわたって蓄積された400万件以上のデータを基に開発されました。
同検査は、「タレントパレット」に標準搭載されており、企業が本システムを導入すれば、全従業員に実施できます。
また、リアルタイムで詳細レポートを表示できますので、検査データを分析し、自社におけるパフォーマンスの高い従業員や部署の特徴・傾向の把握が可能です。
従業員の性格の類似性を分析し、ほかの従業員や部署との相性をシミュレーションすれば、採用活動でのミスマッチを大幅に軽減できるでしょう。
適性検査TPIの対象
「適性検査TPI」は学生向けに無償公開されているほか、「タレントパレット」を契約している企業の全従業員に活用できます。
科学的なアプローチから適性を判断し、「タレントパレット」の機能によって結果を数値化してレーダーチャートでの表示が可能です。
さらに「タレントパレット」で診断傾向を追加すれば、経営陣や人事担当者が検査結果を解釈・判断する際の参考資料となるでしょう。
適性検査TPIを導入する3つのメリット
「タレントパレット」で「適性検査TPI」を実施するメリットは、大きく以下の3つです。
- 全社員が無償で受検できる
- 検査結果を一元管理できる
- 多角的な視点で適性を見える化できる
全社員が無償で受検できる
まず、1つ目のメリットは「全社員が無償で受検できる」ことです。
従来の適性検査は、採用活動や組織診断のために利用された後は検査結果が活用されることはほとんどなく、受検者もコスト面から限定せざるを得ませんでした。
しかし、「タレントパレット」の「適性検査TPI」であれば、全従業員に無償で実施できるため、その結果を自社で搭載しているエゴグラムの適性検査や他社の適性検査との併用も可能です。
検査結果を一元管理できる
次に、「検査結果を一元管理できる」こともメリットの1つです。システムでデータを一元管理できるため、これから入社する候補者を含めた過去の従業員の全検査結果を蓄積・網羅できます。
部署ごとに活躍した従業員の検査結果を参考にしながら、キャリアガイドに基づいて適職を分析すれば、採用活動や人事異動、従業員の育成に活用できるでしょう。
多角的な視点で適性を見える化できる
3つ目のメリットは、「多角的な視点で適性を見える化できる」ことです。
全従業員に実施することで、各従業員の相性などを踏まえて人事配置に活用すれば、適性のミスマッチを防止できます。
また、検査結果は、「タレントパレット」のスキルや満足度に関する調査、エンゲージメントなどのデータとの併用も可能です。
部署ごとの業務の課題やストレス状況、自社で活躍する社員がどんな適性を持っているのかを把握すれば、従業員の働くモチベーションの向上や自社の発展にもつながります。
タレントパレットの適性検査分析機能とは?
「タレントパレット」には、一元管理システムだからこそ活用できる適性検査分析機能が搭載されています。この機能は、外部で実施した適性検査の結果を分析する機能です。
たとえば、コスト面から「自社で活躍する従業員」に限定して外部の適性検査を実施した場合、その結果から特性を分析し、その従業員の行動特性を把握できます。
その行動傾向をベースにすれば、自社の優秀な人材を発掘したり、重要ポジションに抜擢する人物を選定したりする際の参考となるでしょう。
適性検査分析機能の2つのポイント
「タレントパレット」の適性検査分析機能には、2つの大きなポイントがあります。
1つ目は、「他社の適性検査結果を分析できる」ことです。
このポイントを「タレントパレット」に搭載される「適性検査TPI」の結果とをかけ合わせれば、検査の信憑性はさらに高くなります。また、各検査結果を根拠として人材配置を検討することで人事業務の作業効率の向上にもつながるでしょう。
2つ目のポイントは、「各従業員のパーソナリティを重視した分析ができる」ことです。
ただ単に各従業員の性格を把握するだけでなく、部署やチームのバランスを考慮して人材を配置できます。
さらに部署や店舗などに人材を配置する際、この分析機能を活用すれば、従業員同士の性格特性とバランスを考慮して部署やチームを結成することも可能です。
従業員の価値観や行動傾向を配慮した人選やチームを結成することで、仕事上の衝突や軋轢がなくなり、離職防止につながります。
タレントパレットで検査結果を活用するには?
「適性検査TPI」の検索結果は、タレントマネジメントシステムだからこそ、さまざまな機能とかけ合わせることができます。ここでは、幅広い業界で「TPI」の検査結果とあわせて活用できる、「タレントパレット」の3つの機能を紹介しましょう。
人材データ分析
1つ目は、「人材データ分析」機能です。この機能でできることは、下記の7項目です。
- ダッシュボード
- 複数データ蓄積
- 時系列データ蓄積
- 離職防止分析
- エンゲージメント分析
- キャリア分析
- 労務負荷分析
「タレントパレット」のこの機能で、保管されている人材データと検査結果をかけ合わせて分析すれば、たとえば、時系列で変化した経緯や従業員同士の比較、適性の比較ができます。
項目ごとに検査結果のデータをかけ合わせ、多角的に分析することで画期的な人材戦略を策定できるでしょう。
人事評価
2つ目は、人事評価です。この機能でできることは、下記の10項目です。
- MBO
- コンピテンシー評価
- OKR
- 1on1
- 360度評価
- 評価者傾向診断
- 承認・考課フロー
- 甘辛調整
- 評価分析
- 昇格シミュレーション
この機能は、各項目と甘辛調整までを自社の特性に合わせて柔軟に設定でき、インターフェースも被評価者に使いやすく設計されています。
適性検査の結果から紐づいた人事業務に必要な全ての評価フローは、タレントパレットの操作だけで閲覧できますので、従業員の査定を検討するのに最適です。
異動シミュレーション
3つ目は、異動シミュレーションです。この機能を活用すれば、人事異動や部署の配置について、画面上でドラッグ&ドロップするだけで簡単にシミュレーションできます。
従業員の異動だけでなく、それによって人件費がどう変化するのかも可視化でき、自社の経営や運営の参考資料にもなるでしょう。
さらに、昇給や昇格に関するシミュレーションを行えば、自社の従業員について最適な人材配置が可能です。
タレントパレットの導入事例・評判
今回当社で適性検査ツールを導入された企業様に独自アンケートを実施いたしました。
ここでは、「タレントパレット」を導入した企業からの評判(メリット・デメリット)について紹介します。導入を検討している採用ご担当者様は、ぜひ参考にしてください。
アンケートの概要は、下記の通りです。
<アンケート概要>
1.実施対象:人事担当者・経営者
2.実施日:2022/6/21~2022/6/28
3.実施者:株式会社ハリキリ
タレントパレットのメリット
アンケートの結果、以下の良い回答がありました。情報の集約や分析機能の人事・戦略的な活用が特に講評です。
- 人事情報の集約が決め手となった。
- 100人以上の社員の適性を、一覧で比較しながら把握できる。
- UIが使いやすい。
- 現状、問題となってる急所の早期発見=迅速な現状打破が可能。
- 乱離拡散していた情報を取りまとめる事が可能。
- 戦略的なデータで最適な配置を実現。
- 人事異動の際に適切な異動ができる。
- それぞれの社員の良さを短時間で分析できる。
タレントパレットのデメリット
アンケートの結果、デメリットについては、下記の回答がありました。
- データがグラフに表示されるまでに最低でも5分以上時間がかかった。
- セキュリティ面の強化で二重認証を設定したため、以前使っていたツールよりもログイン頻度が減った。
「適性検査TPI」の導入事例・評判
ここでは、タレントマネジメントシステム「タレントパレット」のシステム内に搭載されている「適性検査TPI」について、実際に導入した企業の事例・評判を紹介しましょう。
※2022年7月29日現在
株式会社ビーネックステクノロジーズ
1.業界:派遣
2.従業員数:5,000名
3.導入企業の声:
・無償の適性検査が重宝している。
・適性検査で人材を見える化できた。
日本ピラー工業株式会社
1.業界:製造
2.従業員数:900名
3.導入企業の声:
・適性検査の結果をマッチングの参考にしたい。
セガサミーホールディングス株式会社
1.業界:サービス
2.従業員数:7,535,名
3.導入企業の声:
・適性検査が社員を知るきっかけの1つになっている。
クラフト株式会社
1.業界:製薬
2.従業員数:6,000名
3.導入企業の声:
・適性検査の機能が人事に活かせる。
・データの連携がスムーズ。
・グラフで視覚的にも分かりやすい。
・適性検査の実施で社員のパーソナリティの可視化が進んだ。
千壽製薬株式会社
1.業界:製薬
2.従業員数:1,000名
3.導入企業の声:
・社内で活躍している社員の適性検査の結果を分析し、職種ごとに必要な人材を設定できる。
株式会社インターネットイニシアティブ
1.業界:IT
2.従業員数:2,330名
3.導入企業の声:
・適性検査のデータ化することで人材育成施策を打てる。
さいごに
「タレントパレット」は、データ管理・人事評価・人材育成・組織運用など、企業のあらゆる人材情報を一元的に管理できるタレントマネジメントシステムです。
その機能の1つに無償で活用できる「マインド」と呼ばれる「適性検査TPI」があります。
企業が人材を管理する際、その検査結果とほかのデータとをかけ合わせて分析すれば、多目的に応用できます。
「タレントパレット」は機能が多いため、使いこなすまでには若干の時間を要するかもしれませんが、適性検査に加えて自社の人材を一元管理し、自社生産性の向上を図るには最適です。
また、こちらの記事では各適性検査ツールの比較を行なっています。「どのように比較すればいいの?」「予算にあった費用のサービスを知りたい」という方におすすめです。
【徹底比較】適性検査ツールを5つの視点で比較
採用活動は、企業の今後を左右するといっても過言ではありません。自社の目的に合った適性検査を活用することで、書類選考や面接のみでは把握しきれなかった情報も踏まえて、採用活動の精度や効率アップが期待できます。
当サイトでは他の適性検査ツールも紹介していますので、気になるものがあればぜひ読んでみてください。