適性検査ツールの紹介

内田クレペリン検査の特徴や活用方法は?評判も紹介

内田クレペリン検査の受検

適性検査を採用活動に導入している企業は増加傾向にあります。その背景には、面接だけでは応募者の特徴を見抜けないことがあり、自社とミスマッチした人材を採用し早期退職者が出てしまうという現実があります。

しかし、適性検査を導入することで採用担当者の業務工数が増えないか懸念している方は多いのではないでしょうか。かと言って、短時間で行えれば良いというわけでもなく、適性検査を導入するからには候補者の本質をしっかりと見抜きたいところです。

そこで今回は、所要時間50分の1つの検査で能力と性格を診断できる、精度の高い適性検査「内田クレペリン検査」の特徴や評判をご紹介します。

効率良く適性検査を行いたいと考えている採用ご担当者の方は、ぜひ参考にしてください。

 

内田クレペリン検査の概要

検査内容 能力検査、性格検査(作業検査法で同時に測定)
所要時間 50分
料金 個別診断的判定:2,420円(税込)
個別診断的判定(曲線類型判定のみ):770円(税込)※詳細は「内田クレペリン検査の料金」へ
検査方法 ペーパーテスト

内田クレペリン検査は簡単な一桁の足し算を行い、その結果をもとに受検者の能力、性格や行動面の特徴を測る心理検査です。

官公庁や企業の採用活動や適正配置、学校での教育指導、そして医療現場での診断の参考資料としてなど、さまざまな場面で活用されています。

日本で開発された心理検査の中では長く使われている検査の1つで、その歴史は90年近くにわたります。内田クレペリン検査の受検者数は年間70万人と実績も確かなので、信頼性の高い適性検査であると言えるでしょう。

運営会社の概要

内田クレペリンを提供しているのは株式会社日本・精神技術研究所です。(株)日本・精神技術研究所は、臨床心理士や公認心理師といった資格ができる前から心理臨床の専門家を育成するトレーニングに取り組んできました。言わば「心の専門家」である企業です。

設立 1967年11月21日 ※創業は1947年
資本金 3,000万円
所在地 東京都千代田区九段南2-3-26 井関ビル2階
代表者 代表取締役 内田桃人

※上記情報は全て2022年8月20日時点。

 

内田クレペリン検査の特徴

それでは、内田クレペリン検査の主な特徴を3つ見ていきましょう。内田クレペリン検査には、以下の特徴があります。

  • 面接や質問では分からない点が浮き彫りになる
  • 能力と性格が1つの検査で分かる
  • 作業負荷をかけた独特の検査方法

面接や質問では分からない点が浮き彫りになる

内田クレペリン検査では、面接や質問では見抜けないこともテスト1つで分かります。

面接や質問を使ったテストでは、どうしても回答者の意図が入り込んでしまうのが懸念点でしょう。「本当はこうだけど、こんな回答をすると落とされそう」こういった心理から、本来の自分とは異なった内容で回答してしまう応募者は必ず存在します。

しかし、内田クレペリン検査は計算作業のみで受検者を測る検査形式のため、本人の意思が入り込むことはありません。さらに言えば、本人も気がついていないような特徴が受検者の作業に表れます。

能力と性格が1つの検査で分かる

一般的な適性検査で能力と性格を測ろうとすると、2つ以上の検査の実施が必要になることがほとんどです。

それに対して内田クレペリン検査は「人が作業(行動)するときの能力」と「その能力を発揮するときの特徴」の2つをまとめて1つの検査で測れます。

なぜなら、単純な計算をすることで作業量から能力が分かり、1分ごとの計測量の変化や足し算の間違いから「能力を発揮するときの特徴」=「性格」が分かるからです。

作業負荷をかけた独特の検査方法

内田クレペリン検査では、作業負荷をかけるため筆記検査のみで行います。作業負荷が質問ではわからない特徴を浮かびあがらせるのです。

検査で行う作業は、隣り合う数字を足して記入していく地道な作業です。この地道な作業から、入社後の働きぶりが分かります。

 

内田クレペリン検査の料金

内田クレペリン検査の料金は、以下の通りです。

◆サービス

項目 料金
個別診断的判定 2,470円
個別診断的判定(曲線類型判定のみ) 770円
数量的評価(PF判定)

  • 名簿+集計一覧
  • 個票+集計一覧
  • 【名簿+集計一覧】18,249円(30名まで一律)※31名以上は1名につき608円
  • 【個票+集計一覧】31,449円(30名まで一律)※31名以上は1名につき1,048円
ガイダンス判定 2,200円

◆オプション

項目 料金
電子データ返却サービス 数量的評価(PF判定)

1,980円(200名まで一律)
※201名以上100名ごと1,100円

再判定サービス
  • 個別診断的判定:1,980円/1名
  • ガイダンス判定(G判定):1,980円/1名
組み合わせ判定 個別診断的判定+ガイダンス判定:4,180円

※表は全て税込表示です。

電子データ返却サービス:判定結果をエクセルデータに変換して、CD-Rで返却されます。 大人数のデータ管理が可能で、並び替えも簡単です。対象は、数量的評価の判定を利用した方です。

再判定サービス:一度判定された診断結果を個別診断的判定、またはガイダンス判定(G判定)で再判定します。判定結果について詳しく知りたいという方向けのサービスです。対象は、個別診断的判定(曲線類型判定のみ)か数量的評価(PF判定)を利用した方です。

組み合わせ判定:2種類の判定結果が返却されます。受検者本人へ返却用の帳票を希望する方向けのサービスです。

 

内田クレペリン検査の活用方法

ここでは、内田クレペリン検査の活用方法をご紹介します。企業の方であれば、採用活動を含め以下の4つの活用方法があります。

  • 人材採用・配置
  • 外国人採用
  • 安全管理
  • メンタルチェック

活用目的に応じた内田クレペリンの判定の種類を以下にまとめたので、参考にしてください。

項目 特徴 活用目的
個別診断的判定
  • 判定が一番詳細に記載されている
  • 面接や人材の配置の資料として最適
  • 受検者の性格行動面や特徴が分かる
  • 人材採用・配置
  • 外国人採用
  • 安全管理
個別診断的判定(曲線類型判定のみ)
  • 低予算・短時間で受検者のおおまかな特徴が分かる
  • 応募者が多い場合の選別やパート・アルバイトの採用にも最適
  • 人材採用・配置
  • 外国人採用
  • 安全管理
オンライン判定サービス(UKクラウド)
  • オンラインプログラムで判定できる
  • 実施から判定まで自社で完結できる
  • 初回のみオンライン講習会(計1時間30分)への参加が必要
  • 人材採用・配置
  • 外国人採用
  • 安全管理
メンタルヘルス・アセスメント判定
  • 復職の際のコンディションの確認や面談に使える
  • 職場環境や業務調整に向けて受検者の特徴を把握できる
  • メンタルチェック
ガイダンス判定
  • 受検者本人へのフィードバックに最適
  • 相談や面談時の資料としても使える
  • 人材採用・配置
  • 外国人採用
  • 安全管理
  • メンタルチェック

人材採用・配置

内田クレペリン検査は、知能検査とも高い相関があるので採用後に活躍するであろう人材を見つけることができます。

また、受検者が持っている能力をどんなふうにコントロールして発揮するのかをチェックすることも可能です。受検者に適する部署を判断でき、配属にも活用できます。

外国人採用

内田クレペリン検査は、外国人雇用者の採用にも使えます。1990年代から海外で使われ始めており、韓国の大手企業サムスンもいち早く導入しています。

内田クレペリン検査が海外でも使われている理由は、検査方法に言語が関係しないことです。単純な計算作業のため、文化の影響で回答がずれることがありません。

とはいえ、検査以外で応募者が大切にしている文化が自社とマッチするのかのチェックは大切です。

安全管理

内田クレペリン検査は、事故やミスを起こしやすいかどうかの判定もできます。そのため、安全管理にも活用できます。

現在の日本では、鉄道の事故はほとんど起こっていません。しかし、戦後まもない1948年頃の日本では、重大事故が多発していました。その際、事故の原因が人的要因にあるとして、内田クレペリン検査を用いることで事故を起こす人物の特徴をあぶり出しました。

現在でも、内田クレペリン検査は国土交通省の省令に実施を定められ、日本の鉄道の安全を支え続けています。鉄道のみならず工場での事故防止など他の業種にも広がり、自衛隊でも入隊した隊員に対して内田クレペリン検査が実施されています。

なお、内田クレペリン検査を安全管理に使用する場合は、定期的なチェックが必要です。年齢や精神状態によって検査の結果に影響が出るためです。定期的に検査を行うことで、業務の安全性も上がります。

メンタルチェック

内田クレペリン検査は、もともと精神医療の現場から生まれた検査なのでメンタルチェックにも最適です。

特に、すでにメンタルが不調になってしまった方の回復過程をチェックするために使われています。例えば、社員の復職の可否や復職計画を立てる際に活用できます。

「メンタルヘルス・アセスメント判定」と「ガイダンス判定」を合わせることで複眼的なサポートが可能です。

 

内田クレペリン検査の評判・導入事例

ここからは、内田クレペリン検査を導入した企業からの評判や導入事例を見ていきましょう。

今回当社で適性検査ツールを導入された企業様に独自アンケートを実施いたしました。
ここでは、内田クレペリン検査を導入した企業からの評判(メリット・デメリット)について紹介します。導入を検討している採用ご担当者様は、ぜひ参考にしてください。

アンケートの概要は、下記の通りです。
<アンケート概要>
1.実施対象:人事担当者・経営者
2.実施日:2022/6/21~2022/6/28
3.実施者:株式会社ハリキリ

導入の決め手

導入の決め手としては、昔からあるメジャーな検査であることと、1つのテストで能力と性格の2つを測れる点がポイントとなった企業が多いことが分かりました。

  • よく採用されていたため。
  • 適性検査として多くの実績と歴史を誇り、最も結果に信憑性があると感じたため。
  • 国内でも昔から使われている検査方法であり、採用後の配属予定の適正を見定めるのに適していると思ったため。
  • 能力面と性格・行動面の2点がチェックできることが決め手となりました。
  • 従来のSPIでは判らないような能力、行動面、性格等が分かると思ったため。また、従来のSPIでは約2時間程要していたのが、半分以下の時間で終わるのも魅力的であったためです。
  • 性格面も能力面も評価できるのが良いと思えたため導入しました。
  • 弊社は歴史ある会社なのですが、以前より導入していた事や導入によって各個人の性格や人間性などが分かるため、人員配置などでの人間関係のトラブル等が大幅に少ない印象を受けます。
  • 最もポピュラーな検査方法だと思いましたし、簡単に性格特性や職場適応能力を測定できると思いました。
  • 以前の会社でも導入していて内容を理解していたから。
  • 昔からある測定方法で安心。
  • 連年の導入実績から採用が決まった。

メリット

メリットとしては、結果が正確であることや自社に合った人材を採用できるといった声が多く見られました。

  • 正確な結果が出てくるので部署配属の際などに参考にするにはいいと思います。
  • 法人利用に的を絞った分かりやすい実施フローの提供があり、申し込みから判定の手続きがオンラインで可能なため利便性が高いのがメリット。
  • 自社によって相性の良い人材を採用することで早期退職を防ぐとともに優秀な人材を採用することができるのがメリットです。
  • おおよその性格や仕事に対する適正に関しては判定に当てはまる場合が多いため判断基準としては役立つと思う。

デメリット

デメリットとしては、対策をしてくる受検者がいるため本来の能力や性格を診断できないのではないかと懸念される声が目立っていました。

  • 未だに紙と鉛筆を使って検査を実施せねばならず、時間と場所の確保に手間がかかるのがデメリット。人事配置に適性を見る目的で導入したが、むしろ、採用時の応募者の基本的特徴を把握し、互いのミスマッチを防ぐ目的で活用する方がより効果的ではないかという気がしている。
  • 近年では検査ツールによる情報が書籍やネットで流れており、受験者がそれらの情報を得ている場合もあるので絶対的な判断基準にするのは難しい面もある。
  • 出来るだけ対策をせずテストを受けてもらいたいがどうしてもテスト対策をしてくる人が若干名いるのはデメリット。

 

さいごに

内田クレペリン検査は、簡単な一桁の足し算を行い、その結果を元に受検者の能力、性格や行動面の特徴を測る心理検査です。1つの検査で能力と性格の2つの検査が分かるため、効率的に適性検査を行えます。

筆記テストのみで受検者に作業負荷を与えることで、入社後の働きぶりを見られるのが特徴です。歴史的にも長く使われてきた検査なので、信頼できる適性検査ツールと言えるでしょう。

また、こちらの記事では各適性検査ツールの比較を行なっています。「どのように比較すればいいの?」「予算にあった費用のサービスを知りたい」という方におすすめです。
【徹底比較】適性検査ツールを5つの視点で比較

採用活動は、企業の今後を左右するといっても過言ではありません。自社の目的に合った適性検査を活用することで、書類選考や面接のみでは把握しきれなかった情報も踏まえて、採用活動の精度や効率アップが期待できます。

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